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「たれ」は和牛のようないいお肉には重たい?

みなさんは和牛で焼肉をするとき、どのような調味料を使っていますか?「和⽜のようなサシが⼊ったいいお⾁で焼⾁をする時に、たれが重たく感じて塩やワサビを使って食べる方が増えている」ある日の商品開発会議で、社員からこんな声が上がりました。 確かに年齢を重ねると、いいお肉を食べる機会も増えてきて、たれを付けたお肉とごはんをかき込むなんて食べ方は減ってきたなと感じてしまう、そんな方も多いのではないでしょうか。それは、焼肉のたれを50年以上作ってきた私たちとしては、とても寂しい話です。 「どんなお肉でも焼肉には『たれ』が一番合うんです」と自信を持って言いたい。 この会話をきっかけに、「和牛焼肉のためのたれ」の開発チームが生まれました。わたしたちは、和牛に合うたれを作るために、改めて和牛とはどのような特長をもった食材なのかを調査しました。そこで見えてきたのは、和牛のおいしさの特長は、「脂」由来のとろけるようなあまさと旨みだということです。一般的な牛脂の融点は40~50℃ですが、和牛の脂はそれよりも10℃程度低いため口溶けがよいと言われています。これは、オレイン酸が豊富に含まれている事に関係しており、オレイン酸の作用によって、口に入れた瞬間の口溶けのよさや、旨みの強さが特長づけられています。つまり、脂によるあまみと旨みが前面に出ているからこそ、塩やワサビといったシンプルでさっぱりと食べられる食べ方が好まれているのだと考えました。

和牛の脂を活かした「焼肉のたれ」の開発

和牛の特長を改めて知るにつれて、私たちが感じたのは「たれ」の可能性でした。「たれ」という調味料の魅力は、様々な原料がブレンドされることで素材のおいしさを引き立て、口に入れた瞬間の「先味」~口に残る余韻「後味」へと味の変化も楽しめることです。和牛という素材とケンカしない、和牛の特長に寄り添うような「たれ」を作ることで、今までにない焼肉体験が提供できるのではないかと考えました。 (エバラ食品 商品開発部社員 葛) この商品(Original・Kankitsu)は、和牛の脂がたれに溶け込むことによってはじめて完成するたれです。当社の商品を含め、市販の焼肉のたれには、ごま油が配合されていますが、この商品にはごま油を使う必要はないと考えています。なぜならば「和牛の脂自体を楽しんでいただきたいから」。和牛のおいしい脂がたれに溶け込むことによって、よりコク深くなり、食べ進めるごとにおいしくなるのがこの商品の大きな特長です。たれって、牛肉・豚肉・鶏肉・野菜など、いろんな食材をおいしく食べられるように作るものなので、ひとつの食材だけに着目すると、どうしても物足りない部分が出てしまいます。でも今回は、和牛という素材に寄り添って「和牛にだけあえばそれで良し」という1点集中型の「我が強い、芯のある頑固者」なたれを作ってみたらどうなるんだろうとワクワクしながら商品開発に取り組みました。 幸いなことにエバラ⾷品は、さまざまな原材料を集める購買ルートを持っており、積み上げられた「たれづくり」の知⾒も豊富にあります。その中から検討を重ね、和牛にあう国産原料にこだわった最適な「焼肉のたれ」を作り上げることができました。みなさまと和牛とのすばらしい出会いのお役に立てれば幸いです。